尿路上皮癌に対する
腹腔鏡補助下下部尿路全摘術

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下部尿路全摘術とは

下部尿路全摘術は、犬の膀胱から尿道にかけて発生した悪性腫瘍(尿路がん)に対して行う外科手術です。
特に、膀胱三角部や尿道に広がる移行上皮癌(尿路上皮癌)など、局所進行性の腫瘍に対して検討されます。
この手術では、腫瘍を含む下部尿路を広範囲に切除し、新たな排尿経路を確保します。
根治を目的とする場合もありますが、多くは「排尿困難の改善」「生活の質(QOL)の維持」「腫瘍による苦痛の軽減」を重要な目的として実施されます。

腹腔鏡補助下下部尿路全摘術とは

腹腔鏡を用いてお腹の中を拡大視しながら行う低侵襲外科手術です。
小さな切開で体への負担を抑えつつ、腫瘍に侵された膀胱および尿道を摘出し、新たな排尿経路を確保します。
開腹下では実施する骨盤切開も必要ありません。
排尿障害や痛みの緩和、生活の質(QOL)の改善を目的として行います。

このような症例で検討されます

手術前に必要な評価

安全に手術を行うため、超音波検査、CT検査、血液検査、尿検査などを実施し、腫瘍の進行度や全身状態を詳しく評価します。 その結果をもとに、手術適応や予後について丁寧にご説明いたします。

手術後について

術後は排尿管理や感染管理を慎重に行い、必要に応じて抗がん治療や定期検査を組み合わせながら経過をみていきます。

ご家族へ

腹腔鏡補助下下部尿路全摘術は、高度な技術と周術期管理を必要とする専門的な手術です。
当院では、わんちゃんとご家族が少しでも穏やかに過ごせるよう、丁寧な説明と寄り添った診療を大切にしています。

症例紹介:12歳 去勢雄 ジャックラッセルテリア

1週間前から続く血尿と排尿困難を主訴に来院されました。
超音波検査では、前立腺の腫大および石灰化、さらに右腎の腎盂・尿管拡張が認められ、尿路上皮癌が強く疑われました。
カテーテル下で実施した細胞診検査でも腫瘍性病変が疑われたため、CT検査を実施。
CT検査では明らかな転移所見は認められなかったため、腹腔鏡補助下下部尿路全摘術を実施しました。
術後経過は良好で、排尿状態も安定していたため、術後翌日に退院となりました。
当院では、低侵襲外科と周術期管理を組み合わせ、わんちゃんへの負担をできる限り軽減できるよう努めています。

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所見:
スライドは細胞成分に富み、細胞接着性を有する多角形~類円形細胞が少量の血液成分を背景に認められます。
これらの腫瘍細胞は、複数の細胞学的悪性度の所見を示し、類円形~やや不整形な中心性~偏在性の中型~大型核、粗雑なクロマチン、 2~3個の核小体と少量~中程度の量の水色~青色の細胞質を有しています。
核や細胞質の大小不同は中程度~重度に認められ、少数の大型核を有する細胞や2~4核の細胞、巨大核を有する細胞が散見されます。

細胞学的評価:癌(悪性上皮系腫瘍)
コメント:細胞診検査では、複数の細胞学的悪性度の所見を示す上皮細胞が採取されており、細胞学的な特徴から、 癌(悪性上皮系腫瘍)と診断されます。前立腺に発生している場合には、前立腺癌や前立腺尿道部発生性の尿路上皮癌が鑑別として挙げられます。
局所病変の広がりや、多発傾向の有無、転移性病変の有無に対する注意深い臨床的な評価をあわせてご検討ください。

細胞診検査結果:癌と評価 結果を元にCT検査を実施

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CT検査:腫瘍の浸潤、転移評価

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CT検査:腫瘍の浸潤、転移評価

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手術の様子

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腹腔鏡下での下部尿路のアプローチ

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傷口の写真

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摘出した下部尿路

病理組織学的診断結果

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組織学的診断:尿路上皮癌(別名:移行上皮癌)

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腹腔鏡胸腔鏡

診療科目:腹腔鏡・胸腔鏡

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